コラム【マーケット展望】~分散投資復権の2024年へ~

『金利、金利、金利に振り回されたここ2年』

 今年もいよいよ年末となりました。マーケットは昨年も今年も、米国長期金利の動向に大きく振り回された年となりました。米国政策金利(FFレート)は、インフレ対応で引締めに転じた20223月の0%から5.5%(5.255.5%)まで、史上稀にみる高速利上げを実施しました。それに反応した市場(米国長期金利)も一時16年ぶりの水準である5%台の水準まで急上昇しました。

この影響は、金利と逆の動きをする債券マーケットに大きな下落をもたらし、債券を大量に保有する機関投資家などに大きな影響を与えました。シリコンバレーバンクの破綻もありましたね。

まさに、債券投資逆風の2年と言えます。個人投資家も、債券を組入れている投資信託などの下落の影響を受けました。本来、株式と債券はリスク分散効果がありますが、ここ2年は債券市場の下落の影響が大きく、分散効果が機能しない結果となっています。

しかしながら、来年は分散投資の効果が復権する可能性が高いのではと考えています。一時9.1%(20226月)もあった米国インフレ率が202311月で3.1%まで低下してきたことを受けて、FRB12月のFOMCにおいて2024年末の政策金利の見通しを下方修正し4.6%としています。

これは来年0.25%の利下げを3回することを示唆しています。これを受けて、市場(米国長期金利)はいち早く反応し、現在3.8%台まで金利急低下を演じています。このペースが続くことは考えにくいですが、長期目線ではここ2年間続いてきた、金利・債券市場の大きな転換点であるということは言えるのではないでしょうか。

『日本株は大陽線の年となったが』

日本株(日経平均)は、年初の25834円から先週末(1222日)現在で33169円と約7300円の上昇で今年は稀に見る「大陽線」の年となりそうです。著名投資家ウォーレン・バフェット氏来日や東証の割安株価の企業への指導姿勢をきっかけにした外国人投資家の日本株買い、特に投機筋の参戦などが大きな原動力となり、73日には33753円の高値を付けたわけです。

しかし、お気づきでしょうか?この高値が壁となり、年後半は先週末現在では高値更新とはなっておらず、途中104日には、高値から3000円以上下落の30526円をつけるなど後半は一進一退でパフォーマンスは上がっていません。

米国長期金利に連動しドル円も調整局面になり、円安メリットにも陰りがでる可能性や、「政治とカネ」の問題に端を発した相次ぐ閣僚辞任・交代などにより岸田内閣の指導力が著しく低下したことも要因かもしれません。

一方、投資先としての相対的な魅力が海外マネーを引き付けているとは言えそうです。

長期的視点を考えると今年の「大陽線」には意味があります。1989年につけた史上最高値38915円まで節目がなくなりました。
足元は年前半のスピード違反気味の急上昇の調整と考えれば、巡航速度の上昇への足場固めともいえるかもしれません。

失われた30年を取り戻す復活の狼煙を上げた(大陽線)日本株の来年には期待したいところです。

『アセット・アロケーションによる分散投資が有効な年へ』

 来年は米国大統領選挙の年です。中国の不動産の不良債権問題や、ロシア・ウクライナに続く、中東も含めた地政学リスクなど不確実性は払拭されていません。
しかし、マーケットは様々な状況を織込みながら成長していきます。来年はアセット・アロケーションによる分散投資が有効な年となるでしょう。

それでは、良いお年を!!