― ボラタイルな相場の中で、ポートフォリオという「軸」を考える ―
今年のマーケットを振り返ると、一言で評価するのが難しい一年だったように思われます。年初からさまざまな材料が交錯し、方向感が定まりにくい中で、投資家にとっては判断を迫られる場面が何度も訪れました。相場の振れ幅が大きく、局面ごとに空気が大きく入れ替わる一年だったと言えるでしょう。
象徴的だったのが、4月のいわゆるトランプ関税ショックです。トランプ大統領の関税を巡る発言をきっかけに、マーケットは一気にリスクオフへ傾き、株価は短期間で大きく下落しました。その後、過度な悲観は後退したものの、「材料一つで相場の表情が急変する」という今年の特徴を強く印象づける場面でした。一方、年後半にかけては高市ラリーと呼ばれる上昇局面が訪れ、相場のムードは再び大きく転換しました。下落と上昇が短いスパンで繰り返された、非常にボラタイルな一年だったと言えるでしょう。
こうした環境の中で、相場の良し悪し以上に、「どのような構造で資産を保有していたか」によって、結果や体感が大きく分かれた一年でもありました。日々の値動きや話題性のあるテーマに重心を置きすぎた場合、局面が変わるたびに対応を迫られ、判断の難しさが増していきます。その一方で、アセットアロケーションを軸に全体像を捉え、長期と短期の役割を整理していた場合、相場の変化を一段引いた視点で受け止めることができたのではないでしょうか。
アセットアロケーションは、相場を当てにいくためのものではありません。不確実性が高まる中で、何を維持し、どこを調整し、どこに余地を残すのかを考えるための枠組みです。今年のように上下の振れが激しい相場では、その枠組みがあるかどうかが、投資行動の一貫性に大きく影響したように思います。
また、コア・サテライト戦略についても、今年は改めて示唆の多い一年でした。長期的な前提に基づくコア資産を中心に据えつつ、サテライトで環境変化やテーマ性に対応していくことが重要です。この構造があることで、短期的な相場変動に過度に引きずられることなく、必要な調整や見直しを行う余地が生まれます。今年は特に、サテライトだけで相場に向き合うには負荷の大きい局面が多かったように感じます。
来年を展望すると、マーケットを正確に予測することは引き続き容易ではありません。金利や為替、政治・地政学的な要因など、考慮すべき変数は多く、どれか一つに見通しを固定すること自体がリスクになり得ます。だからこそ重要なのは、正解を決め打ちしないこと、そして前提が変わったときに修正できる構造を持っていることだと考えています。投資は単年の結果で完結するものではなく、定期的なレビューを通じて調整を重ねていくプロセスそのものに意味があるのではないでしょうか。
本年も、多くの方とこうした視点を共有しながら、資産管理や運用について考える機会をいただき、心より感謝申し上げます。来年も引き続き、一人ひとりの状況に寄り添いながら、長期的な視点に立ったポートフォリオ管理を大切にしてまいります。どうぞ良い年末年始をお過ごしください。そして、来る年が皆さまにとって実り多い一年となることを心よりお祈り申し上げます。
IFA 法人エチュード株式会社
代表取締役 吉住俊彦
本稿は、過去および現在の市場環境に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資判断を目的とするものではありません。金融市場は将来の予測が困難であり、過去の運用実績や市場動向は将来の運用成果を保証するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします